こんにちは。広報の大木です。
弊社がサービスデザイン・設計開発に参画した、ジギョナリーカンパニー様が提供するソーシャルロケーションサービスの「MachiTag(マチタグ)」が今年4月にサービス開始しました。弊社からはエンジニアの斉藤とデザイナーのgrapeの二名が関わりました。今回その二人のインタビューをご紹介します。
ビルディットの開発スタイルの特徴として、エンジニアとデザイナーが一つのチームで常に協働していること、いつでも気軽に話せる近い距離で仕事をしていることがあります。
そしてもう一つ、メンバー固有の要素とも言えますが、UI/UXデザインに知見のあるエンジニアと、エンジニアリングの知識があり実装ができるデザイナーがいることによって、社内に職種の境界による分業意識がなく、お互いがより良いもの作りを追求できる環境ということも大きな価値を持っています。
インタビューは、若手デザイナーであるgrapeの視点をメインに、開発の様子、デザイナーの役割、デザイナーとエンジニアがチームで協働することがサービスにとって、また自分にとってどんなメリットがあるのか、などを聞いていきたいと思います。
また、grapeは現在大学院に通う学生でもあり、若いメンバーがどう成長しているかを知っていただき、同じく学生で将来デザイナーを目指す方や、若手デザイナーの皆さんにも、自身が働く場を考える際のヒントがあればと思っています。
目次
人物紹介
grape(デザイナー)
大学院でUI/ UXを専攻する中国からの留学生。現在は週3日勤務。 日本に来る前は中国で大学卒業後、新卒で上海Uber社(世界規模の配車Webサービス事業)でUI・グラフィックデザイナーとして1年間の実務経験。 学生アルバイトでありながら、ベーススキルもしっかりある頼もしい存在。
※学業が本分なので、本名でなく社内のニックネームでご紹介します。
斉藤(リードエンジニア)
ビルディットでは代表の富田の次に二人目のメンバーとして参画。得意分野はフロントエンド(React, Vue…)、前職はグッドパッチ社でUI/UXの経験を積み、デザインにも深い知見をもつエンジニア。
「MachiTag」開発、そしてリリース
──MachiTagは「今いる場所で、探さなくてもいきたい場所が見つかる。ユーザー中心のロケーションプラットフォーム」をコンセプトとしていますね。 クライアントと最初にサービスについてお話ししたときの印象は?
斉藤)そうですね。最初にサービスのコンセプトをお聞きした時には、汎用的に使える、業界問わず広がりのありそうなサービスだなと思いました。 技術的には、地理情報(GIS)を使ったサービスということで、初めて取り組む機能もあり、ワクワクしながら開発を進められました。
──開発が始まったのはいつ頃からですか?
斉藤)今年の年明けくらいです。grapeはそれまではリードデザイナーの石崎と一緒に仕事をしていましたが、MachiTagはデザイン提案からgrapeにメインでやってもらいました。
grapeがビルディットにきて半年強の頃ですね。
──grapeさんにとっては、要件からローンチまでをメインで携わった初めてのプロダクトということですね。最初にアサインされた時と、リリースの時の気持ちを聞いてみたい!
grape)アサインの前、別案件で石崎さんの手伝いをしていました。ある時富田さんから「新しいサービスを作りたい?」と聞かれて、「もちろんやりたいです!」と答えました。
それからMachiTagの話を聞いて、その開発に自分がメインデザイナーを担当できると知ったときは、興奮と、正直にいえば少しだけ不安もありました。もっと頑張ってもっと成長しないといけないと。 リリースのときは、本当に何もないところからゼロから携わったので、それはもうとにかく興奮です。やりきった感、達成感のひとことです!
それぞれの役割分担
──エンジニアとデザイナーとでチームで開発するというのは具体的にはどんなふうに役割分担をして進めていくんですか?
斉藤)クライアントとのやりとりやヒアリングは主に私が担当しました。 クライアントのやりたいことを理解した上で、grapeに相談して、デザインを作ってもらいます。
役割分担としては、デザイナーにはデザインを作る段階ではユーザーニーズに思いきり寄せたデザインを作ってくれることを期待しています。
エンジニアは実現性の視点が最初にきてしまうので。
実装面でのレビューが必要な分、より時間がかかってしまうのですが、最初から実装のことを考えたデザインに収めるとユーザーにとっての最適を追求しにくいし、なによりも面白いものが作れないですよね。
デザイナーにはユーザーがワクワクするようなデザインとか、ブランドイメージに思いきり寄せてデザインを作ってもらって、現実的な仕様とそれの最大公約数を探るのが良いサービスを作るっていうことだと思っています。それが役割分担のベースです。
──なるほど。仕様をもとに実現性から考えるエンジニアと、ユーザー体験や使い勝手の優れたものを考えるデザイナーが、それぞれ自分の領域を思いきり膨らませるんですね。
日々の仕事のすすめかた
──日々の実務はどんな感じに回っているんですか?
grape)流れとしては、クライアントとの窓口である斉藤さんがIssueを書いて、それを見える形にするのが自分、デザインしたものをクライアントに確認にして、また必要なIssueが上がって、を繰り返していきます。Issueの管理はGithubです。
Issueには細かい補足も丁寧に全部書かれていて、ちょっと確認したいことなんかはいつも側で仕事しているので気軽に聞いてますね。
斉藤)普段からよく話しているから話しかけにくいとかは全然ないよね。
自分がIssueに書いたことが伝わりにくいかなと思うことは事前に口頭で認識合わせもしますけど、分かりにくいことがあればすぐ聞いてくれると思っているから全く不安に思うことはないですね。
grape)先輩デザイナーの石崎さんはMachiTagではアドバイザー的な関わりですが、必要に応じてレビューをお願いしています。 斉藤さんはUIが分かるエンジニアなのでデザインについても意見がもらえるんですが、UIデザインの専門性がより高い人にもらえるレビューはまた違う視点があります。
斉藤さんからの意見はどちらかといえば実装よりで、石崎さんはデザインより、それは当然なんですが、UIが分かるエンジニアである斉藤さんと、実装が分かるデザイナーである石崎さんからのアドバイスは、普通のエンジニア・デザイナーとは一味二味違って、すごく勉強になります。サービス作りは刺激的ですごく面白いです。
新しいサービスの開発は難しい
──「MachiTag」のサービスは、既存のグルメサイトやSNSとはコンセプトにかなり違いがありますよね。そういう今までにないサービスの設計は、開発が難しいですか?
grape)そうですね、自分にとって難しいことはたくさんありました。
タグの導線とか、ユーザーの動き方とかが今までにない新しい仕様なので、ユーザーにどうやって使うメリットを伝えるか、直感的に使ってもらうにはどうしたら良いか、が課題でした。
──どんな風に課題を解決していくんですか?
grape)自分のアイデアをまず斉藤さんに話して、OKが出たら週に1回のクライアントとの定例会で相談します。週に一度直接話せる場があるのが、課題を共有しやすくて良かったです。
──定例会はいつもスムーズに進む?
grape)いや、スムーズにいかないこともあります。
クライアントからの要望は、デザイナーが考えるユーザー最適とは一致しないことがあります。 お互い主張するだけでは平行線なので、その場で適切な落としどころを話し合って決めていきますが、やはり難しいです。 だからこそ定例会で毎週直接相談できるタイミングがあるのは良いですね。
協働のメリット
──「協働」というキーワード、そのメリットはなんですか?
斉藤)協働のメリットというよりは、自分は以前の会社でもデザイナーと一緒に案件を進めることが多かったので、そうじゃない環境で良いサービスを開発するのはすごく難しいと思いますね。
一度、デザインが決まっていてこの通りに作ってくれ。という案件があったのですが、実現性を無視したデザインになっていたりして、実装に苦労したことを思い出します。 「協働」することは自分にとっては良いサービスを作るための重要なファクターですね。
さっき話が上がった通り、デザインが分かるエンジニアと、エンジニアリングが分かるデザイナーというメンバーだからこそ、それぞれの境界があまりなくて、お互いがそんなに努力することなく協働できる環境をより醸成しているのかもしれませんね。 お互いへの理解が薄いと、協働するための歩み寄りがほんとうはもっと必要なのかも。
grapeがそんな感覚を身につけてきたのと同じように、これから新しいメンバーが増えていく中でそれが標準になったら良いですよね。
ビルディットにきた経緯
──話は遡りますが、grapeさんがビルディットにきた経緯を教えてください。
grape)ビルディットにきて1年ちょっとです。
大学院に入学して、大学と自宅から近い場所で仕事があればと思ってWantedlyで「八王子 デザイナー」で検索してビルディットの求人を見つけて。 日本での仕事はビルディットの前にもう一つ、都心にあるシェアサイクルのスタートアップ企業でインターンをやりました。
斉藤)grapeは学生だけど、UIの経験もあるし中途採用のメンバーと同じような感覚でしたね。最初からベーススキルはしっかり持っていたし。初めからそれなりに任せてました(笑)
grape)中国での仕事はグラフィックデザインがメインだったので、UIを本当にやったのは日本に来てからですけどね。 それと以前はデザイナーだけのチームで仕事をしていて、エンジニアとの関わりは全くなかったんです。完全に分業で、デザインを渡すのもマーケティングチームでした。
UIデザインとかアプリは作りながら改善が必須だからいろんな人と関わりながら仕事しますよね。環境は全然違いますが、今の方が自分のやりたいことができています。
成長の実感
──ビルディットで1年、成長したって感じますか?
grape)感じます! 一つはデザインのプロセスですね。
サービス開発はグラフィックのようにビジュアルを作って終わりではないので、デザイン提案から始まってリリースしてその後の分析・検証…とかの一連のサイクルに関われるようになって、それが前よりもうまくできるようになった気がしています。
もう一つは「アプリ」の理解、というか、日本と中国では「使いやすい」の仕様・ロジック・考えが全然違うんですよ。 その違いに戸惑っていることが多かったのが、日本のアプリへの理解が追いついてきました。
あと大学院で勉強していることもUXなので、勉強で得た知識を実務に反映してみたり、その逆もあったりで両得な感じです。
──斉藤さんからみて、grapeさんの成長ってどんなことですか?
斉藤)もとからちゃんと経験もあって、できる人だと思っているけど、アプリとWeb両方をバランスよく経験つめているし、ローンチして終わりじゃなくて運用改善までやってもらっていて、そこに必要なコミュニケーションもさらにうまくなっているなって思いますね。
これはビルディットにきてからの成長ではないのかもしれないけど、グラフィックセンスがあっていつも綺麗なものを作ってくれるので信頼してます!
grape)(照)ありがとうございます!
この先の進路
──大学院を卒業した先の進路は決まっているんですか?
grape)まだちゃんと決めていないですね。。
もし中国に戻るとしたら、アリババのような大きい会社でUIUXをやりたいと思うし、チャンスがあれば日本で就職したい気持ちもあるし。 両親と離れてずっと日本で生活し続けるのは親が心配なんですけど、両親からは日本で就職したら?とも言われたり。すごく迷います!
──クライアントに自分の意向をちゃんと伝えられるくらい日本語は堪能だし、今までの経験と実績があれば、そのどちらでも希望する道を選択できそうですね! ビルディットという選択肢ももちろんありますよね(笑)
お二方、ありがとうございました!
エンジニアとデザイナー、それぞれの専門職が「協働」するのに、双方で何らかの努力、または何らかのノウハウが必要なのではないかと思っていましたが、お二人の話を聞いているとあくまで自然に役割分担と相互補助の関係ができているように感じました。
デザインが分かるエンジニアと、エンジニアリングが分かるデザイナー、そのメンバーたちのチームワークが、クライアントにとって、そしてユーザーにとって最適なサービスを生み出せるだけでなく、若手のメンバーを広域のスキルを持った次世代のクリエイターへ育成することにも繋がっているのだなと思いました。
ビルディットは現在のところ少数精鋭といった所帯ですが、若手が育つ環境もしっかりあると感じたインタビューでした。
弊社デザイン顧問イシジマミキとリードデザイナー石崎の対談リポートも 合わせてぜひお読みください! inside.bldt.jp