Inside BuildIt

株式会社ビルディットのデザイナー・エンジニアによるブログです

とある開発会社の、フルリモートやめるかどうか問題について

ビルディット代表の tmtysk です。

2016年3月創業、東京都八王子市に本社を置く弊社は、2020年の4月にフルリモートワークに切り替えて、そのまま3年間やってきました。元々、対面での仕事を大切にしてきたのは、「その方が楽しかった」からですし、「楽しく仕事ができる方が、生産性も高い」と考えているからです。よく、全員でランチに行っていましたし、八王子ジャーニーの新着記事をSlackに流して新しいランチスポットを開拓していました*1「ゆるはち .it」という勉強会コミュニティも立ち上げ、地域のコワーキングスペースなどもお借りしながら、いろんなご縁をいただいてきました。

フルリモート環境への切り替え判断は、今から思い返せば、もう少し慎重な導入・運用もできたのかもしれないな、という想いがあります。2020年という時期は、別の記事でも言及している通り、弊社が「人材教育・人材育成」の領域に注力していくとアイデンティティを固めた時期でもありました。そういう時期であったのであれば、性急にフルリモートに振らず、社内でのコミュニケーションをもっと多く重ねる機会を織り交ぜることで、現在の事業をもっと早く、もっと先に進めることができていたかもしれない。

その他にもさまざまな要因があり、新たな社員との出会いもあれば、別れも経験してきました。新たな出会いの中には、遠方に居住しているなどリモートワーク前提の出会いもあり、私としてもそれを受け入れてきました。

私たちは、変わるチャンスを与えられたのだと思いますし、それを受け入れつつ、変わるべきところは変わってきたと思っています。 ただ、私にとっての「以前の楽しかった環境」は、少しずつ遠いものになっていきました。

3年という歳月は、私たちの仕事に対する価値観や仕事環境の変貌を、新しいものとしてなじませるのには十分な時間だったように思います。

昨今、状況が変わってきたこともあり、フルリモートワークを部分撤廃あるいは完全撤廃する企業のことも耳にするようになってきました。そのようななか、弊社は2023年10月現在、「任意出社」という形態をとっています。この判断について、私自身の思考の整理、社内向け発信の意味も込めて、ここで「フルリモートやめるかどうか問題」を語っておこうと思います。

マネジメント的には、対面が良い

フルリモートに切り替えて以降、とくに変化として大きく感じたのは、リモートワーク環境下での心身の体調不良の増加です。生活/仕事の切り替えの難しさ、運動不足、免疫力低下、コミュニケーション不全など、さまざま要因があるのだと思います。

リモートワーク下において、Zoom越しに体操や運動の時間をとる会社もあるようですが、弊社としては情報提供に留まってきました。コミュニケーションの問題については、お互いを気にかけるチームとしての価値観づくり、コミュニケーションに関する研修機会、朝礼などの同期コミュニケーションタイミングづくり、ビデオミーティングでの顔出しなども情報提供し、また、産業カウンセラー窓口を設置するなど、社員の健康管理をサポートしてきました。

ですが、やはり顔色や体調は、一部の時間だけでの画面越しでは見切れない。健康的に働けるための環境づくりはマネジメントの責任でありますが、当人の自己管理に任せざるを得ない範囲が増えてしまっているように思います。結果として体調不良が増えてしまっていたり、カバーしきれないプロジェクトの遅れが発生してしまっていることに、難しさを感じています。

経営的にも、対面が良い

経営的な観点からすると、経営者としての私が気にしているのは「会社として、縁ある人に価値を提供できているのだろうか」ということであり、具体的にいえば「高いサービス成果をつくれているのか」「人間関係は良好か」という2点。サービス成果というのは、私たちの開発サービスをご利用くださるクライアントからみた成果ですので、「クライアントが満足しているのか」「期待を上回るサービスを提供できているのか」という観点では、対面のほうが成果を確認しやすいです。確認しやすいということは、改善もしやすい、もっと高付加価値の仕事を生んでいきやすいということです。もちろん、そういったものを客観的定量的に計測する仕組みとともに回すことができるのであれば、対面かリモートかの影響度合いを小さくすることはできるでしょう。ですが、そのような仕組みを十分に機能させるには、サービス形態・体制の磨き上げを含め、まだまだ練度が必要だと思っています。

私たちは、クライアントからサービス利用後のアンケートなども回答いただくようにしていますが、やはり、そのサービスのプロセスにおける満足度や納得感は、そこに関わっているメンバーとともに仕事をしていることでのみ、リッチに感じることができ、だからこそ、より高品質・高付加価値なサービスをつくっていくことができると思うのです。私たちが成長し続けることは、弊社で掲げている理念・価値観のひとつである Lifelong Learners の実践でもあります。

一個人の仕事環境としては、ケースバイケース

一個人としては、リモートワーク環境は集中できる環境ですし、通勤時間がないぶん家族との時間もつくりやすいというメリットがあります。一方で、職場で一緒に仕事をしていることで、他のメンバーの仕事環境が後ろから見えることで「オッ、見たこと無いツール使ってるな!」とか、机の上に置いてある読みかけの本とかを見て「この本、どんな感じ?」といった会話も発生する、偶発的な出会いの楽しさがあります。

少人数の会社で、ビジョンやミッションを共有した上で「一緒にやっていこう」とお互いで合意してやっている仲間ですので、「出社をする」という行為そのものをネガティブに捉えているメンバーは居ないと思います。事実、社内からの声でも「必要とあらば出社することは厭わない」という声が大半です。とはいえ、ところで、「必要性」とは何で、誰が判断するのだろう..?

みんなで考えることが、チームビルディングでもある

以上は私から見えている各観点からの意見となりますが、現在、弊社では、この「リモートワークどうするか問題」を社員のみんなで話し合ってもらっています。経営判断をパシッと下すのであれば、「来週から、全員金曜だけ出社ね」みたいなことを決めちゃえば良い*2んですが、こういうことを自分たちで考える機会ってなかなか無いと思い、いったん任せてみることにしました。

理想の仕事環境についてアイデア出しをしたり、規定文書の表現を検討したり、いろんなバーチャルオフィスサービスやボイスチャットツールを試してみたり、社内一人ひとりの意見を聴いたりといった活動が現在も進行中で、このプロセスが、「働く」ということそのものを考え、また、一緒に働くメンバーの価値観・仕事観を共有し、チームを強くすることに繋がっているように思います。

まとめ

フルリモートワークをやめるかどうか、について、マネジメント、経営、現場プレイヤーの各観点から思うところ、そして、ビルディットの現状について綴らせていただきました。

この数年、私たちが経験してきたことで考えるべきは、「リモートワークを目的とした仕事の仕方・在り方」ではなく、「手段としてのリモートワーク」そして「有事にリモートワークを選択しても強さを維持できるチームを、如何につくっていくか」だと考えています。同時に、経営者として、弊社のメンバーのこれからの職業人生を考えたとしても「フルリモートワークでしか働いたことがない。今後も働けない」という考え方と業務スタイルを定着させてしまうことは、雇用者としての懸念と責任を感じてしまう部分もあります。

こういった「明文化されたルールが無い」という状況でも、毎日は過ぎ去っていくわけですが.. それが故に何らかの問題が潜在し続け、結果として企業として目指している目的や、社会的な責任が果たせないのであれば、なんらかの決断をしなければならないときが来るのかもしれません。

社内での議論を経て、こういったことをメンバーと共有していけると良いな、と考えています。

いずれにせよ、ビルディットの経営責任をとることができるのは私であり、どのようになっても、私は家族・社員・社員の家族やお客さま・取引先に対して約束を果たしていく腹決めをした上で、いま、この議論をチームに任せてみています。

ちなみに、最終的に果たすべき、私たちが掲げる約束というのは、ホームページにも掲載している、下記の文章で述べられているものです。

ビルディットは人材教育への情報技術の活用を通じて、 社会の健全な成長と、世界平和を創り出すことに貢献し、 全従業員の物心の豊かさを実現することを目的として存在しています。

私は私で「こういったハイブリッドな状況であっても、『楽しく働ける環境』はどのような環境だろうか」「約束を果たすことができているのだろうか」と、日々アタマを悩ませています。

読者の皆さんは、どのような環境を望み、仕事をされているのでしょうか。その環境で、どのような成果をつくり、どのような職業人生を歩みたいと考えられているのでしょうか。

思うままに綴った文章ですが、この記事がどなたかの参考になるところがあったら嬉しく思います。

そして、お約束ではありますが、こんな仕事環境で、高い志とともに社会の健全な成長を創り出していきたいという方がいらっしゃいましたら、弊社の募集をチェックされてみてください。「周りに紹介したい人が居る」という方のご紹介も歓迎です!

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お読みくださり、ありがとうございました。

*1:そんなきっかけから、こんな紹介記事を書いていただいたり、こんな動画までつくっていただいたりというご縁になったのですが..

*2:とはいえ、それをやると、現状では席が足りない問題があります