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株式会社ビルディットのデザイナー・エンジニアによるブログです

「人材教育領域に強い」システム開発会社の技術的な取り組みについて

ビルディット代表の tmtysk です。ビルディットは「人材教育領域に特化したシステム開発会社」として活動を続けており、また、自社サービスとして「ふりかえりで想いを見つけ、育て、叶えるアプリ」としてスマートフォンアプリ Stockr(ストッカー) や、その法人向けバージョンを開発・運営しています。

多くの方の支えや応援をいただき、おかげさまでイチ EduTech 企業としてピックアップしていただける機会もいただけたのですが、一方で、私たちが開発企業としてどのような技術に取り組んでいるかを十分にお伝えする機会を持ててこなかったようにも思います。

そこで、本記事では、私たちがこれまで取り組んできた各種プロジェクトにおいて、どのような「人材教育領域ならでは」があったのか、その概要をご紹介したいと思います。詳細は、実績紹介ページ業務実績一覧、ほか、メンバーからの記事に譲りますので、気軽にお読みいただければ幸いです。

本稿では、大きく「学びを促進するための学習支援システム」「企業の人材育成業務を支援するシステム」「その他」の3つの切り口から、語ってみます。

学びを促進するための学習支援システム事例

「学びを促進するため」という観点のシステムですので、システムのユーザー(利用者)は学習者(個人)になることが一般的です。弊社では、BtoC, BtoBtoC, CtoC の各種サービスの開発で、これらを支援してまいりました。システムの種類としては、動画・テキストなどの教材配信システムや、チャットや掲示板・フォーラムのようなコミュニケーションシステム、学習成果を定着させるためのフォローアップシステムやリマインダシステムなどが挙げられます。

教材配信は有償やOSSのLMS(Learning Management System)、コミュニケーションシステムは各種SNSやチャットサービスの併用もしくはクローンなどで代替が効くものなので、スクラッチで独自開発することは少なくなってきているように思います。敢えていえば、これらの既存サービス(SaaS)や、独自開発するとなった場合のPaaSその他各種ツールを押さえておくことができれば良いでしょう。

フォローアップシステムやリマインダシステムについては、弊社が関わったことがあるサービスですと、独自のアンケートやアセスメント(テスト)を組み合わせて学習定着状況を定性・定量的に測定・蓄積するシステムや、利用者の到達状況に応じてリマインダ(Push通知やメール)を送り分ける Pub/Sub システムなどの設計・実装実績があります。

技術的な観点ですと、独自のアンケートなどを構成するための使いやすいフロントエンドUIや柔軟なデータ構造の設計、リマインダをよりインテリジェントにするためのユーザー行動データの解析プロセス設計や、ある程度スケーラブルな通知配信システムなどが求められてきています。また、学びの促進という観点では、学習内容を記憶するだけでなく、実際に思考・行動の変容を起こすというところが求められる側面もあり、サービス設計では心理学・脳科学の知見や考え方も参考にされていることが多いように思います。

企業の人材育成業務を支援するシステム事例

人材育成業務の支援という観点では、具体的なシステムとしては、従業員向けの教材配信・課題提出管理システムや、研修申込み管理システム、リマインダやメールの一斉配信、各種コミュニケーションツールなどが挙げられます。前項のものとあまり代わり映えしないですが、企業研修は多くの研修ベンダによって提供されているため、必然的に多くの種類の教材コンテンツやデリバリープロセスに対応できるような、プラットフォーム型のシステムになりがちです。これは、単に SCORM 対応していれば良いというところに留まらない、相応な抽象的なデータ設計やソフトウェア設計が求められてくるということにも繋がります。

また、企業向けとなると、システムのユーザーが少々多様化してくることが特徴になります。先の項で述べた学習者(従業員)だけでなく、その従業員の先輩や上司、企業の人事部門や管理部門もシステムのユーザーとなってきます。つまり、開発支援するシステムが BtoBtoC だったり、BtoBtoB だったりするというわけです。したがって、体験設計においても、立場や期待が異なる複数の観点を行き来することが必要になります。エンジニアリングにおいては、ユーザーによって見た目を差し替えたり、気の利いたチャート(グラフ)による視覚化で効果的な管理画面をつくったり、適切に認証・権限管理をしたり、データ保持の単位(テナント管理)を適切に仕切ったり。規模やエンドユーザーによってはシステム監査プロセス・セキュリティ監査プロセスへの対応を求められることも、こちらのシステム開発における特徴となります。

なお、システム導入に当たっては、企業の事業部門もしくは人事部門により決裁がなされるため、そのシステム化モチベーションは大きく分けると「事業推進のため」「人事業務推進のため」の2パターンとなります。

前者の「事業推進のため」のシステムは、得てして従業員個人の現場教育・育成管理の仕組みとなってくるので、前項で挙げた「学びを促進するためのシステム」で採用する技術と似通ったものが採用されます。

一方、後者については、人材育成に留まらず、人事部門の管理的な業務である「評価」「採用」「配置」などのプロセスとの接続が求められてきますので、人事評価や採用業務、組織開発、タレントマネジメントなどに関するドメイン知識が必要になることが多いです。EduTech というより、HRTech 的な側面が強くなりますね。

技術的な観点ですと、People Analytics のようなデータサイエンスに注目が集まっているのも、近年の特徴と言えます。人事データや育成データは、さほどデジタル化や整理が進んでこなかったため、データプラットフォームやパイプラインの整備の必要性が高まっており、弊社でも各種AI技術やクラウドサービス、ミドルウェア、ビジュアライゼーションツールなどを駆使する形で支援をさせていただいております。

その他

上記の他、ここでは挙げませんでしたが、弊社では、受講者(生徒)向けの集客サイト、体験レッスン申込、教材販売や、会員・月謝管理、時間割管理、成績管理といった各種システムに関わってまいりました。この記事は、主に技術者の方向けに書いているものではありますが、応用例として参考までに付記しておきます。

私の所感ではありますが、教育事業会社において、独自に組まれた、高度で複雑な情報システムは、さほど必要とされてこなかったように思います。実態として、スプレッドシートやACCESSなどの各種ツールやパッケージで管理されたシステムが現役であることが多い。そして、規模感によって、そのツールを併用した業務を支えるための独自システムにマイグレーションしてきている現場が多いように見えています。

私たちがサポートさせていただくのは、そういった「いろいろ手を入れられてきた結果、複雑化しすぎてしまっていたり、担当者が代わったりしていくなかで、手を付けられなくなってしまった」というシステムであることが多く、私自身もときには(教育事業の)現場業務を傍らに見ながら、そんな現場のシステム開発・運用を多く支援させていただいてきました。

その他、特殊な事例ではありますが、ひとつ具体例もご紹介。子ども向けのプログラミング教材の配信/実行プラットフォームの開発というプロジェクトがありました。マインクラフトというゲームを題材としたプログラミング教材で、実行環境となるマインクラフトサーバーの起動管理だけでなく、フロントエンドにビジュアルプログラミング用ライブラリの Blockly、その他3D空間のプレビューアなど、非常に個性的な技術スタックが求められるプロジェクトでした。このプロジェクトについては、ポッドキャストでも紹介しておりますが、いずれプロジェクトの担当エンジニアからもう少し詳細の紹介記事も出る予定なので、ご興味の方はお楽しみにお待ちください。

いずれにせよ、固定の技術に固執することなく、「サービス利用者の成長に向けて、そして、その成長に向けて愛情を注いでいる目の前のクライアントに対して、私たちは何ができるのだろう」という観点で、さまざまな形でサービス提供をしているというのが、弊社の開発スタイルの特徴*1と言えます。

さいごに

以上、「人材教育領域に強い」といっているビルディットが、具体的にどのような技術領域に取り組んでお客さまをサポートさせていただいているのか、その概要についてご紹介してまいりました。参考にしていただけるところがあったなら嬉しく思います。

「リスキリング」という言葉が多くの方に伝わるようになり、また、企業においては国内労働人口の減少に伴い、人材採用の難易度が上がってきたという背景もあり、人材育成や教育の重要性はとても大きくなってきているように思います。事実、知人の研修会社を経営する方にお聞きしたところでは、最近、これまで大企業だけに見られたような人材育成の取り組みが、ベンチャーや中小企業にも広まってきているということでした。

「社会の成長は、そこに生きる人々の成長からつくられる」と考えれば、「教育」「人材育成」の重要性はとても大きい。私たちも、とても小さな所帯ではありますが、「高品質な学びの仕組みをつくる」をミッションに掲げ続け、勝手ながら、社会からの期待は大きいと、その期待を背負い込み、常に学び続けながら、さらに豊かな社会をつくっていくために貢献していきたい所存です。

この記事をお読みいただき、私たちへのお仕事の発注や協業による業務推進・ビジネス拡大にご関心いただけた方、お気軽にホームページのお問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。

また、最後に、毎度のお願いではありますが、私たちとともに「社会の健全な成長を創り出していきたい!」という方、弊社の募集をチェックされてみてください。「周りに紹介したい人が居る」という方のご紹介も歓迎です!

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ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。