Inside BuildIt

株式会社ビルディットのデザイナー・エンジニアによるブログです

デザインの答えはそれ自体にある、という話。

こんにちは、デザイナーの小澤 @_akinen です。

エンジニアからUI/UXデザイナーに転向して、はや半年が経とうとしています(経緯はこちら)。常に新たな仕事にチャレンジしており、学びが多い日々を送っています。弊社では4月に新たに1人デザイナーが入社🎉し、デザインチームも盛り上がってまいりました。

さて最近、デザイナーとして働くなかで感じていることがあります。それは、デザインはググっても解決しないということです。


💡答えはそれ自体にある

エンジニアとして仕事をしていたときは、実装中に分からない点があると「ググる(≒ 検索する)」ことが習慣化していました。使っているものがブラウザによっては対応していない事があったり、既知のバグとしてGitHubのIssueに挙がっていたりするため、検索能力は重要でした。

Webデザインにおいても、デザインの手法やガイドラインは検索が可能です。また、他の事例からインスピレーションを得たり、リファレンスを見るためにググることはよくあります。ただ、デザイナーにとってググることはあくまで「参考」で、そのまま反映することはほぼありません。

デザインを独学で勉強していた時は、ネットの情報を参考に架空の課題を想像し、見た目優先でデザインを作成していました。しかし実際のプロダクトに携わってみると、ネットの情報をそのままビジュアルや機能に反映したところで、目的に沿ったデザインはできないという事を、身に沁みて感じるようになりました。

その一例として、最近取り組んだSaaSのホーム画面のリニューアルがあります。

design-process

ホーム画面の改善例

このサービスのユーザーはコースを受講し、各コース内の「スレッド」に参加します。

初めてサービスを触ったとき、ホーム画面に「なんか分かりづらいかも…?」という感覚がありました。ただ初回は誰しもUIを触ったことがなく、使っていくうちに覚える部分もあるため、単純に見た目の問題だと思っていました。

しかしここで「見づらいからだ」と短絡的に判断し、見た目をイケている感じに整理しただけでは、「分かりづらい」という課題感は解消できません。

ではどうするか。

先の例ではホーム画面にアクセスしたユーザーのシナリオを考え、ユーザーがなぜ戸惑うのか仮説を立ててみることにしました。

すると「初めてログインしたユーザーはこのサービスのページ構造やドメイン知識がなく、『最新のスレッド』というものが表示されてもどこに遷移するのか、その先で何をすれば良いのかイメージ出来ないのではないか」という仮説が出てきました。

その後、仮説をもとに ①サイドバーと表現を合わせて、自分の見るべき箇所を明示する②Tipsで、ユーザーの役割に応じて端的にやるべきことを伝える という施策が生まれ、見た目を整理しただけの場合と異なる画面に着地しました。

ここから得られた気づきとしては、デザインの課題感に対する答えは、外部のサービスと比較してどうかではなく、そのサービス自体にあるということでした。

 

💭ユーザーに寄り添う

前職でのエンジニアの仕事では、破綻のない設計や型定義、例外処理など、できるだけ不確実性を排除して「正常に動作するもの」が基本的に求められました。

一方現職では「体験」という抽象度の高いものを考えることが主な仕事です。世の仕事の多くがユーザーのためではありますが、デザイナーは特にユーザーのことを考える機会が多いです。

そのためデザイナーになって以降の変化として、普段の仕事における主語が「ユーザー側」になりました。たとえば、

「画面を開いても、どこから編集すればいいか分かりづらいよね」

「スマホで見るとスクロールが大変だなあ」

「メールって何度も同じタイトルで送られてくると見なくなるよね」

といった様に、「〜したいよね」「〜だなあ」と話し言葉を使うようになりました。

ユーザーがどう感じるかというのは、明示的に決まっているわけではありません。社会的背景や性別、その時のシチュエーションなどによって大きく変わってきます。

したがってペルソナやユーザーシナリオといった仮説を立て、ユーザーの立場になって考える必要があります。弊社では仮説やデザインが一人よがりにならないよう、社内外のデザイナーと相談や壁打ちをしながら試行錯誤しています。

一方で、そうして仮説から立てた施策がユーザーのためになっているかは、実際に形にするまで分かりません。そのため現職では、プロトタイプを作成して導線を確認したり、実装後のデータを見て仮説が本当に正しかったかを評価しています。

 

✨まとめ

他のサービス事例にあまり振り回されるのではなく、サービスの提供価値やそれを使うユーザーを考えることで、自ずとデザインが決まってくるのではないでしょうか。

デザイナーは、ネット上にはまだ存在しない、サービスの独自の価値をつくることのできる面白い職種だと思います。今後も皆で試行錯誤しながら、よりよいサービスづくりを目指していく所存です。